運転を哲学する男 小林眞のコラム 56 . 水と空気、健康と安全

メルマガコラム 56

~ 水と空気、健康と安全 ~

 

「水と空気のどちらが大切か」という質問に答えはない。

水がなくても数日は生きていられるが、空気がなくなれば15分も生きていられない。だから空気の方が大切だというのは、答えにならない。どちらがなくても生きていられないのだから、質問そのものが成立していない。

 

ならば、「健康と安全」はどうなのか。

企業で安全といえば、先ず「労災事故防止」であるが、通勤災害としての交通事故への関心は薄い。

健康管理には、人間ドックの補助など、社員1人に1万円以上を負担しても、交通安全管理に1人千円を負担する企業は稀である。

健康診断によって病気を防ぐことはできず、病気を未然に防ぐことは極めて困難である。

一方、交通事故は、そのほとんどを防ぐことができる。少なくとも、加害者になることは自ら防ぐことができる。

 

社用車の事故防止に関心が高くても、マイカーの事故については関心を持たない企業も少なくない。

しかし、すべての社員が仕事に専念するためには、その家族も含めて、交通事故と無縁であり続ける必要がある。

事務職の社員が労働災害によってケガをすることは少ないが、交通事故に関しては同じである。交通事故は、すべての社員がその対象となる。

企業の経営管理について、組織管理、業務管理、人事管理の3つに分けて説明する場合、その3つの円の重なる部分に交通安全管理は存在する。

つまり、社用車を運転しない社員、自動車通勤でない社員を含めて、すべての社員がマイカーを持ち、生活の手段として活用している以上、交通事故防止とは、すべての社員にとって重要な安全対策である。

 

病気の早期発見だけではなく、交通事故の未然防止について、これまで以上の重要性を認めるべきである。

安全であること、社員の交通事故を防ぐことに価値を認め、組織として真摯な取り組みが行われることによって、社員の交通事故は確実に減少させることができるからである。

すべての社員が交通事故の加害者にも被害者にもならないことによって、社員は仕事に専念し、業績を上げ、会社は進化・発展する。

「安全第一」という行動指針の出発点は、ここにある。

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