Voicy文字起こし 論理的思考が大切 #915

バック事故は軽微なのか⁉

今日は引き続き群馬県の方で講演会があります。
午前中は打ち合わせと商談、午後からはセミナーです。

今日のトークテーマは「気になるニュース」
この間、信越放送さんの取材を受けまして、
僕は「事故が多いカーブはなぜか」という話をさせてもらいました。
いろんな理由があって、実際そのカーブでは事故が多かったので、いくつか解説をさせてもらったんですが、
たぶんそのうちYouTubeに上がると思うので、また見つけたらシェアしようと思います。

その信越放送さんのホームページを見ていたら、
長野市内でゴミ収集車がバックの際に人をはねてしまい、気づかずにそのまま立ち去るという、
いわゆる「ひき逃げ事件」の報道が出ていました。

バック事故って、よく「軽微な事故」と言われますけど、
はっきり言っておきます。

バック事故は軽微な事故ではありません。

たまたま軽い事故で終わっているだけであって、確率の問題です。
僕はこれを「軽微な事故」と捉えていること自体がすごく怖いと思っています。

実際、バック事故では年間60人も亡くなっています。
1週間に1人以上が命を落としているんです。
それを軽微な事故と言えるでしょうか。
僕は違うと思います。

Yahoo!ニュースでも、今年何度もコメントさせていただいた事故のひとつです。

ですから皆さんも、「軽微な事故だから」と思い込まないようにしてほしいです。
その意識のままでは、次の加害者になる可能性があると思っています。

今回の事故で、ドライバーは「気づかなかった」と言っていました。
僕は、それを本気で言っていると思います。
嘘をついているというより、本当に気づけなかったんだと思うんです。

「そんなの気づくに決まってるだろ」と思う方も多いですが、
正直、ひき逃げをした人の心理って、僕にはわかりません。
やったことがないので、評価もできません。
その場に立った時、どう感じるのか、どう判断するのか、誰にもわからないと思います。

だから「気づくはずだ」と軽々しく決めつけるのは危険です。
もちろん注意していれば気づくかもしれませんが、
エンジン音や思い込みなど、人の心理って複雑で不確かなんですよね。
だからこそ、決めつけは本当に怖いと思います。

昨日、ある会社の会議でバック事故の検証をした時の話です。
その運転手さんは、バックセンサーが鳴っていたにもかかわらず、バックを続けていました。
理由を聞いたら「歩道に反応してると思った」と言ったんです。
正直、僕はゾッとしました。

その時、管理者の方が言った一言が印象的でした。
「センサーは正直です。機械は嘘をつかない。だけど人間は嘘をつくんです」
まさにその通りだと思いました。

誤作動しているのはセンサーではなく、人間の方なんです。

ですから、センサーが鳴ったら一度止まりましょう。
何かに反応しているから鳴っているんです。
バックモニターを見ても何も映っていないなら、降りて確認するべきです。
それが人だったらどうしますか。

センサーが鳴りっぱなしになるまで近づくこと自体、異常です。
僕はそんな経験ないですし、普通はそこまで近づかないはずです。
だから「センサーが鳴ったら止まる」、これはもう基本中の基本です。
ぜひ皆さんにも、その習慣を持ってほしいと思います。

論理的思考を持つ

そしてもうひとつ。
僕は交通事故防止の中で「思い込みの怖さ」を強く感じています。

例えば、アクセルとブレーキの踏み間違いは20代が多いのに、
「高齢者の事故だ」と決めつけていたり、
バック事故を「軽微な事故」と思い込んでいたり。
子どもの死亡事故も、実は8月が一番少ないのに「8月が多い」と誤解されていたり・・・

こうした思い込みのまま事故防止策を立ててしまうのは、本当に危険です。

昨日テレビで見た報道でもそうでした。
ある大学の教授が「高齢者は筋力が衰えているから踏み間違いが多い」と言っていたんです。
でも、じゃあ20代の事故はどう説明するのか。
そこを検証せずに「高齢者だから」と決めつけているのは怖いなと思いました。

正直言って、交通事故防止の専門家という肩書きもあやしいものです。
僕は今まで、自分以上に事故防止について深く知っている人に出会ったことがありません。
これは自信過剰ではなく、かけている時間が違うんです。
見ているドラレコの本数も、現場での経験も桁違いです。
だからこそ、アウトプットの精度も上がるのは当然だと思っています。

交通事故防止という分野は、論理的な整理がまだ足りないと思います。
多くの人が感覚で話してしまう。
「こうだからこうだろう」と決めつけて進めてしまうんです。

でも、それは本当に正しいのか。
そこを一度「疑ってみる」ことが大切です。
それをしない限り、精度は上がりません。

疑うというのは、逆の方向から物事を見ること。
間違っていても構いません。
でも、違う側面が見えてくることがあります。
ぜひ皆さんも、自分の中の「思い込み」を一度疑ってみてください。

今週は引き続き群馬に滞在します。
週末はかなり寒くなるそうなので、
皆さんも体調には気をつけてください。

僕は函館仕様の服で来ているので、寒さは大丈夫そうです。
函館はマイナス3度でしたからね(笑)

それでは、今日も皆さんご安全に。

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