事故は責任追及しない
今日、僕は東京でセミナーがあります。
その後は、夜に函館へ移動します。
雪がちょっとどうなのかなと・・・
移動できるのか、まだわかっていません。
天候のことですから、最悪の想定も含めて予定を考えないといけないなと思っています。
では、今日は昨日の続きです。
僕がこの仕事を選んだ理由、きっかけについての話ですね。
僕は当時、ドライブレコーダーを疑似体験のツールだと直感的に感じて、
タクシー会社へ導入したんです。
結果ですが、4月に導入して8月に事故がゼロになりました。
それまで多い月では事故が20件ほどありました。
事故が非常に多い会社だったのに、たった4か月でゼロになったんです。
何をしたのか?
実は1つだけです。
ドラレコの映像を、ひたすら見せ続けました。
「フラッシュバックのように運転中に思い出せばいい」
そう思ったので、まずは業者が持っていた他社のサンプル事故映像を使いました。
知識なんてなかったので、
「怖いね」「こんなんあるんやね」と、
みんなで映画鑑賞のように見ていたんです。
ギャーギャー言いながら、一緒に映像を見ていました。
すると翌月、自社でも事故が起きる。
その映像をまたみんなで見る。
「うちにも来ちゃったわ」なんて言いながら。
さらに次の月も、前月見せた映像も全部見せ続けました。
先月の映像もまず見て、今月の事故を見る。
その翌月は先々月の映像から始める、みたいな感じで、
毎月40分、ただひたすらドライバーと見ていました。
それ以外、正直何もしていません。
よくヒヤリハット検出が必要だと言われますが、
僕は今でも、それが事故抑止の核心だとは思っていません。
だって、自分はそれをせずに事故をなくしているので、反論されても響かないんです。
ただし、ヒヤリハット映像を全く見ていなかったわけではないです。
当時はカード式、コンパクトフラッシュでした。
10件しか映像が入らず、分析に1時間もかかる。
誰の映像かも分からない。
正直、面倒くさかった。
そして僕は、
「誰のヒヤリハットか」を個別に指導することに価値を感じていませんでした。
個別に教えても、1対1にしかならない。
それよりも、全員で共有する方が意味がある。
だからヒヤリハットは検出しても、個人指導はしなかった。
危ない映像は、みんなで見ました。
そして、忘れられない7月の出来事です。
4回目の映像視聴会の時、
あるベテランドライバーが手を挙げて言ったんです。
「社長、これ俺のヒヤリハットやんね。
社長説明下手やから、俺が説明するわ」
その瞬間から空気が変わりました。
他のドライバーも立ち上がり、
「これ俺やから、俺が説明するわ」と話し始めた。
実はそこで、僕が説明する必要がなくなったんです。
映像を再生するだけで、ドライバーが自分の映像を解説してくれる。
事故した人も「僕が説明します」と言い出した。
だから、事故をなくしたのは僕じゃなく、
ドライバー自身だと思っています。
ここで大事なのは、責任追及をしなかったことです。
事故の原因を問うことは大事ですが、
それ以上に「どうすべきか」が重要なんです。
映像を見ながら「ああだこうだ」言わず、
怒ることもなく、
起きたことは変えられないと割り切って、
共有して教訓にしただけです。
それにより、
「ここで発言しても安全だ」
そんな心理が生まれたんだと思います。
だから自由に意見が出て、
自分の失敗も語れる職場になった。
もしあなたの会社で事故が減らないのなら、
責任追及の文化が強いのかもしれません。
僕がコンサルしてきた会社でも、
責任追及のスタイルで結果が出ていない企業は山ほどありました。
事故報告書を見ても、
「これドライバーに書かせたよね」と感じるケースが多い。
責任追及で事故はなくなりません。
言われる方も不幸、言う方も成果が出ず不幸です。
だから、未来型の指導、
「何をすべきか」に注力してほしいです。
僕は知識があったわけではなく、
たまたまそういう運用をしていただけです。
そしてドライバーが素直に受け止めてくれた。
それが結果につながったと思っています。
ちなみに、ドラレコ導入時は組合から猛反対されました。
「労務管理する気か」と言われました。
トップには
「映像チェックする暇なんかない」
と説得し、1週間で導入しました。
なので、ヒヤリハットを個別管理しなかった背景には、
組合との攻防も少し影響しています。
でも本当に、これは僕のストーリーです。
もしこの放送を聞いている方で、
責任追及型の指導をしているなら、今すぐやめてください。
時間の無駄です。
言われる方も嫌だし、言う方も前向きになれません。
ぜひ、改善をしてほしいと思います。
では、今日も皆さんご安全に。
株式会社 ディ・クリエイト
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