メルマガコラム 55
~ 生きる資格 ~
「強くなければ生きていけない。優しくなれなければ、生きていく資格がない」……これは、レイモンド・チャンドラーの名言です。
私たちは、いつものように自動車を運転し、交通事故を起こすこともなく、今日も平穏に一日を過ごしています。
しかし、今日も誰かが交通事故を起こし、時にその命が失われています。私たちは、その事実を知っていますが、その現実に向き合うことはありません。
交通死亡事故とは、大きな過失によって発生しているのではありません。誰もが犯してしまう程度のウッカリによって、交通事故は発生し、それは軽人身であったり、死亡事故になったりします。
ドライバーにその結果を選ぶ権利はありません。
誰もが同じような運転をしていることなど、言い訳になりません。防ぐことのできた事故を発生させた以上、ドライバーとしてその結果に対する責任を問われるのは当然です。
人としての優しさ、誠実さは、人としての豊かさを、多くの人から信頼と尊敬を得ることができます。
しかし、そんな人が交通事故を起こした場合、その優しさや誠実さが、自らを傷付けることになります。自分の過失や人を傷付けたという現実に対して、繰り返し反省や後悔を強制するからです。
交通事故は、毎日、何件も発生しています。しかし、交通事故の重要性とは、その発生数の多さではありません。加害者・被害者、そのご家族にとって、その1件がすべてです。その1件が、当事者の人生を左右するからです。
「強くなければ生きていけない。優しくなれなければ、生きていく資格がない」とは、私たちが目指す安全な交通環境へのです。
交通安全に価値を認め、安全運転を続ける「強さ」を備え、歩行者などへの配慮を欠かさない「優しさ」が持てないのであれば、自動車を運転する資格がないことを教えてくれています。