~シートベルト~
ドライバーのシートベルト着用率は99%を超えたとされているが、驚くべきことに、死亡事故ドライバーの着用率は、わずか60%程度である(2024年中)。
つまり、ほとんどのドライバーがシートベルトを着用して運転している現在でさえ、死亡事故によって自らの命を失ったドライバーについては、
その約40%がシートベルトを着用していなかったことになる。
さて、この数値は何を示しているのか。
自動車に乗車中、シートベルトを着用していなかった人の致死率は、一般道でも約2.7倍とされている(警察庁HP)。
しかし、私たちが常にシートベルトを着用し、同乗者にも着用を促すのは、致死率が高いことだけが理由ではない。
同乗者を含めてシートベルトを着用することとは、それが運転することの基本であり、ドライバーとして当然の義務だと感じているからである。
シートベルト非着用のドライバーの事故を分析すると、シートベルトをしていれば、約半分は死亡しなかったであろうとされている。
この分析結果を踏まえ、「シートベルトを着用していれば約半分の命は助かったはずです。だから必ずシートベルトを着用してください」と訴える広報がある。
しかし、この広報について、私は無駄だと考えている。
その理由は、シートベルトを着用しないドライバーがその命を失ったのは、シートベルトを着用しなかったことだけが原因ではないと思うからだ。
シートベルトすら着用しないドライバーとは、遵法精神に乏しく、他人への迷惑を顧みない、自分勝手でわがままなドライバーである、と私は思う。
そんなドライバーは、シートベルトだけでなく、様々なルールを無視していたのではないか、自分勝手な運転を繰り返していたのではないかと考えてしまう。
もちろん、すべてのシートベルト非着用のドライバーがそうであると断定するつもりはない。
しかし、シートベルトすら着用しないという安全意識の欠如、そしてずさんな運転行動そのものが死亡事故という結果を招いたのだと、私は考えている。
さて、安全で快適な交通環境を実現し、交通死亡事故をゼロにするためには、互いにルールを守り、他の車、自転車、歩行者を尊重することが必要である。
しかし、この世はそんなに簡単ではない。必ずルールを無視する者、自分勝手な運転をするドライバーが存在する。
いつの世もシートベルトすら着用せず、傍若無人な運転を繰り返すドライバーは存在する。
私たちが目指す安全運転とは、事故が起きたときの過失の軽重を問うものではない。
私たちの安全運転とは、交通事故の加害者にも被害者にもならないということだ。そのためには、悪質なドライバーとの事故をも避ける必要があり、自らルールを守るだけでは足りない。
つまり、自分が優先であってもそれを過信せず、注意深い運転を続けることが必要である。
加害者にも被害者にもならない安全運転、それは決して困難な課題ではない。
シートベルトをカチャリと着けた時に、「今日も落ち着いた気持ちで運転するぞ」と思うだけで、私たちは安全運転ができるはずである。